セモニデス(読み)せもにです(英語表記)Semonides

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セモニデス」の意味・わかりやすい解説

セモニデス
Sēmōnidēs

前7世紀のギリシア詩人サモス島に生れたが,のちアモルゴス島に移住。作品はわずかな断片を残すのみ。そのなかで,女性を種々の動物にたとえ,蜜蜂に似た女を除いて,ほかのすべてのタイプを否定的に特徴づけた風刺的なイアンボス詩と,人間のみじめな運命を歌った厭世的なエレゲイアの断片が名高い。アルキロコスと異なり,彼の風刺は個人的でなく哲学的である。サモス島の歴史をエレゲイア2巻に歌ったとも伝えられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セモニデス」の意味・わかりやすい解説

セモニデス
せもにです
Semonides

生没年不詳。古代ギリシアのエレゲイア、イアンボス調の詩人で、前7世紀ごろの人。わずかな断片しか伝わらないが、そのなかの『女について』と題されるイアンボス詩は、ほとんど完全な作品で、女を動物、虫その他の10種に見立てた辛辣(しんらつ)な風刺詩で、機知に富んだ秀作である。蜜蜂(みつばち)の性(しょう)の女以外はすべて度しがたい厄介者と断じるところは、ギリシア伝統のアンチフェミニズム躍如としている。ほかに人生観を歌った断片もある。

[松平千秋]

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