ミムネルモス
Mimnermos
前7世紀後半から前6世紀前半のギリシアの詩人,音楽家。生没年不詳。コロフォン出身。エレゲイア調の詩集2巻があったが,20余りの小断片のみが伝わる。1巻は,彼が愛した笛吹女にちなんで〈ナンノ〉と呼ばれた。ティトノスの物語,太陽神の東への夜の旅,コロフォンの建国,スミュルナの歴史などさまざまな主題の詩の収集である。他の1巻を成す詩の断片は,厭世的享楽主義の思想を示す。人間を枯れ落ちる木の葉にたとえ,移ろいやすい青春の喜びと老年の悲哀を強調する。60歳を過ぎた人生は願わしくなく,愛の喜びのない人生は無に等しいとし,生を十分楽しむべきであると説く。陰鬱で哀感の漂う調子は近代的な意味でのエレゲイア(エレジー)である。反面,〈ナンノ〉中の断片は,真理,戦い,武勇などを力強く歌い,この詩人の内面的矛盾を示す。彼の詩は美しい言葉に富み,直截な表現で人の心に訴える。彼はエレゲイア調で物語詩を作った最初の詩人として文学史上重要な位置を占めている。
執筆者:高橋 通男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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ミムネルモス
みむねるもす
Mimnermos
生没年不詳。紀元前7世紀に活躍したギリシアの叙情詩人。生まれはコロポンともスミルナともいわれている。恋人の名を冠した詩編『ナンノ』、ギゲスのスミルナ攻撃という史実を素材にした『スミルナ物語』の作品名が伝わっているが、詳細は不明である。残存断片では、「あわれな死よりももっとみじめな老年」に対する厭悪(えんお)を歌う句が有名。古代においては恋の詩人としての評判があり、ヘレニズム期の詩人に影響を与えている。
[橋本隆夫]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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ミムネルモス
Mimnermos
前7世紀後半~6世紀前半のギリシアのエレゲイア詩人,音楽家。コロフォンまたはスミルナの出身。愛のない人生のむなしさ,青春の楽しさと移ろいやすさ,老年の悲哀などを歌う一方,神話や歴史や戦争の歌も作った。ヘレニズム時代に集められて,彼が愛したという笛吹き女の名をとって『ナンノー』 Nannōと呼ばれた詩集2巻から,わずかの断片が伝わる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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「ミムネルモス」の意味・わかりやすい解説
ミムネルモス
前7世紀後半から前6世紀前半のギリシアの叙事詩人。小アジアのコロフォン出身。青春のうつろいやすさと老年の悲哀を歌った詩で知られる。断片のみ現存。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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