センプル(その他表記)Ellen Churchill Semple

改訂新版 世界大百科事典 「センプル」の意味・わかりやすい解説

センプル
Ellen Churchill Semple
生没年:1863-1932

アメリカの女流地理学者。大学を出てからドイツライプチヒに2回留学。当時,地理学を体系立てて近代科学の一つに高め〈近代地理学の祖〉といわれたF.ラッツェルに師事し,人間活動に対する自然環境の影響について深い関心をもち,《アメリカ史とその地理的諸条件》(1903)のほか多くの研究を発表した。《地理的環境の影響》(1911)は,ラッツェル思想に若干自分の考えを加えて英語で紹介したもので,ドイツ語を母国語とする人々にも難解な文と内容であるといわれていたラッツェルの《人類地理学》におけるいわゆる環境決定論の立場を明解に打ちだした功績は大きい。この本を書くため,交通機関の未発達な当時にもかかわらず広く世界各地を旅行し,実証的な調査・研究を行ったという。日本にも旅行し,《日本の農業における地理的条件の影響》(1912)の論文を発表した。1921-28年にはクラーク大学の教授をつとめた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「センプル」の意味・わかりやすい解説

センプル
Semple, Ellen Churchill

[生]1863.1.8. ケンタッキールイビル
[没]1932.5.8. フロリダ,ウェストパームビーチ
アメリカ合衆国の地理学者。最初歴史学を学んだが,1891~92年,および 1895年にドイツのライプチヒでフリードリヒ・ラッツェルのもとで地理学を学び,その影響を強く受けた。ラッツェルの地理学的思想をみずからのアメリカ史および地中海世界の研究と結びつけて多くの著書,論文を発表した。しかしラッツェルがスペンサーから継承した社会有機体説には批判的であった。シカゴ大学およびクラーク大学で多くの弟子を育て,その環境決定論的な考え方は 20世紀前半のアメリカ地理学に大きな影響を与えた。主著に『環境と人間』Influences of Geographic Environment(1911),『地中海地域の地理』The Geography of the Mediterranean Region(1931)がある。

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367日誕生日大事典 「センプル」の解説

センプル

生年月日:1863年1月8日
アメリカの人文地理学者
1932年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「センプル」の解説

センプル

兵庫県尼崎市にある競艇場、尼崎競艇場の公式マスコットキャラクター。

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