ソウル特別市(読み)ソウル(その他表記)Seoul; Sǒul

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソウル特別市」の意味・わかりやすい解説

ソウル〔特別市〕
ソウル
Seoul; Sǒul

大韓民国の首都で,1級行政区。朝鮮半島の中部西岸寄り,プクハン (北漢) 山 (836m) ,ナムハン (南漢) 山 (606m) などに囲まれた盆地に位置する。月平均気温は-4.9℃ (1月) ~26.2℃ (8月) 。年降水量は 1260mmで,その 60~80%が夏季に集中する。ハン (漢) 江の河口から約 60km上流にある水陸交通の要地で,要害の地でもあるため,早くから開けた。新羅時代に漢陽郡が置かれ,高麗時代には南京となった。李氏朝鮮時代には首都で漢城府と呼ばれ,壮麗な都城が造営された。 19世紀末からは外港インチョン (仁川) の開港,キョンイン (京仁) 鉄道,キョンブ (京釜) 鉄道,キョンウォン (京元) 鉄道などの開通によって,国の交通,経済の中心地として重要性を増した。日本の統治期には京城と改名され,総督府の所在地。独立後,「都城」を意味する古語からソウルの現在名となった。 1946年特別市となる。朝鮮戦争で大きく破壊されたが,近代的なビルや道路網をもつ市街として再建された。中心市街地はチュン (中) 区とチョンノ (鍾路) 区で,ハン江の北岸,プク (北) 岳とナム (南) 山にはさまれた地域にあり,高級商店街,遊興街,金融街,官庁街などが集中する。市域は数次にわたって拡大され,22区からなる。ハン江に多数の橋がかけられ,また地下鉄の開通に伴って特に南郊の発達がめざましい。クロ (九老) 区は工業団地を中心に,キョンイン工業地域の重要な一部となっている。国の文化の中心地でもあり,国立ソウル大学のほか多数の私立大学があり,言論機関なども集まっている。人口の集中と地下鉄,バス路線の拡充によって,住宅,工場などが市域外へも進出し,ソンナム (城南) 市,アニャン (安養) 市,プチョン (富川) 市,ウイジョンブ (議政府) 市などの衛星都市が生まれた。李朝時代の古跡が多く,秘苑,景福宮昌徳宮,昌慶宮などの宮殿,南大門,東大門などの城門がある。ナム山とプク岳は市街の展望がよい。近郊の山地はグリーンベルトの役割を果たすハイキング地となっており,ナムハン山,プクハン山に城門や城壁が保存されている。面積 606km2。人口 979万4304(2010)。

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