デジタル大辞泉 「なむ」の意味・読み・例文・類語
なむ[係助・終助]
1 上の事柄を強く示す意を表す。
「
2 (文末で)上の事柄を強く示すとともに余情を残す意を表す。…てねえ。
「ましていと
[補説]中古の散文、特に会話文で多く用いられた。文中にある場合、これを受ける活用語は連体形となるのが原則である。ただし受ける語が接続助詞を伴って下に続く場合は、連体形で結ぶとは限らない。また、2のように結びが省略されることもある。同じ係助詞の「こそ」や「ぞ」に比べて語勢は弱いといわれる。
[終助]《上代の終助詞「なも」の音変化》動詞型活用語の未然形に付く。他に対してあつらえ望む意を表す。…てほしい。…であってほしい。
「ま遠くの野にも逢は―心なく里のみ中に逢へる背なかも」〈万・三四六三〉
な◦む[連語]
1 推量を強調する意を表す。きっと…だろう。…にちがいない。
「世の中の憂きたびごとに身を投げば深き谷こそ浅くなり―◦め」〈古今・雑体〉
2 意志を強調する意を表す。必ず…しよう。…てしまおう。
「舟に乗り―◦むとす」〈土佐〉
3 可能の推量を強調して表す。…することができよう。
「この御方々のすげなくし給はむには、殿の内には立てり―◦むはや」〈源・常夏〉
4 適当・当然を強調して表す。…てしまうのがよい。…のはずだ。
「それ(=スグレタ文才)もすたれたる所のなきは、一生この事にて暮れにけりと、つたなく見ゆ。今は忘れにけり、と言ひてあり―◦ん」〈徒然・一六八〉
5 (多く「なむや」の形で敬語とともに用いられ)相手を勧誘する意を表す。…たらどうだ。…てくれないか。
「忍びては参り給ひ―◦むや」〈源・桐壺〉