コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

なむ ナム

デジタル大辞泉の解説

なむ[助動]

[助動][○|○|なむ|なむ|なめ|○]《上代東国方言》動詞・動詞型活用語の終止形に付く。推量の助動詞「らむ」に同じ。→なも[助動]
「国々の社の神に幣(ぬさ)奉り我(あ)が恋すなむ妹(いも)がかなしさ」〈・四三九一〉

なむ[係助・終助]

[係助]《上代の係助詞「なも」の音変化。「なん」とも》名詞、活用語の連用形・連体形、副詞、助詞に付く。
上の事柄を強く示す意を表す。
「夜半(よなか)うち過ぐるほどに―、絶えはて給ひぬる」〈桐壺
(文末で)上の事柄を強く示すとともに余情を残す意を表す。…てねえ。
「ましていと憚(はばか)り多く―」〈・桐壺〉
[補説]中古の散文、特に会話文で多く用いられた。文中にある場合、これを受ける活用語は連体形となるのが原則である。ただし受ける語が接続助詞を伴って下に続く場合は、連体形で結ぶとは限らない。また、2のように結びが省略されることもある。同じ係助詞の「こそ」や「ぞ」に比べて語勢は弱いといわれる。
[終助]《上代の終助詞「なも」の音変化》動詞型活用語の未然形に付く。他に対してあつらえ望む意を表す。…てほしい。…であってほしい。
「ま遠くの野にも逢は―心なく里のみ中に逢へる背なかも」〈・三四六三〉

な◦む[連語]

[連語]《完了の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む(ん)」》
推量を強調する意を表す。きっと…だろう。…にちがいない。
「世の中の憂きたびごとに身を投げば深き谷こそ浅くなり―◦め」〈古今・雑体〉
意志を強調する意を表す。必ず…しよう。…てしまおう。
「舟に乗り―◦むとす」〈土佐
可能の推量を強調して表す。…することができよう。
「この御方々のすげなくし給はむには、殿の内には立てり―◦むはや」〈・常夏〉
適当・当然を強調して表す。…てしまうのがよい。…のはずだ。
「それ(=スグレタ文才)もすたれたる所のなきは、一生この事にて暮れにけりと、つたなく見ゆ。今は忘れにけり、と言ひてあり―◦ん」〈徒然・一六八〉
(多く「なむや」の形で敬語とともに用いられ)相手を勧誘する意を表す。…たらどうだ。…てくれないか。
「忍びては参り給ひ―◦むや」〈・桐壺〉

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

大辞林 第三版の解説

なむ

( 助動 ) ( ○ ・○ ・なむ ・なむ ・なめ ・○ )
〔上代東国方言〕
推量の助動詞「らむ」に同じ。 「橘の古婆の放髪はなりが思ふなむ心愛うつくしいで我あれは行かな/万葉集 3496」 「まかなしみさ寝に我は行く鎌倉の水無瀬川みなのせがわに潮満つなむか/万葉集 3366」 「群玉のくるにくぎ鎖し固めとし妹いもが心は動くなめかも/万葉集 4390」 〔推量の助動詞「らむ」に相当する上代東国方言には、別に「なも」の形もある〕 → なも(助動)

なむ

( 係助 )
〔上代の係助詞「なも」の転。平安中期以降「なん」と発音されるようになり、「なん」とも書かれた〕
体言および体言に準ずるもの、助詞などに付き、特に取りたてて強く指示する意を表す。
文中にあって係りとなり、文末の活用語を連体形で結ぶ。 「身はいやしながら、母-宮なりける/伊勢 84」 「この北山に、限りなく響きのぼる物の音-聞こゆる/宇津保 俊蔭
「なむ」を受ける述語を省略し、文末にあって、余情をもたせる言い方をとる。 「かく聞こえたりければ、見さして帰り給ひにけりと-/伊勢 104」 「ただここに、人づてならで申すべきこと-/枕草子 七一・春曙抄」 〔「なむ」は、物語などでの会話文中に多く見られ、和歌にはほとんど用いられない〕

なむ

( 終助 )
〔平安中期以降「なん」と発音されるようになり、「なん」とも書かれた〕
文末にあって動詞・助動詞の未然形に接続する。ある行為・事態の実現を期待し、あつらえ望む意を表す。…てほしい。…てもらいたい。 「うちなびく春とも著くうぐひすは植ゑ木の木間こまを鳴き渡ら-/万葉集 4495」 「飛ぶ鳥の声も聞えぬ奥山の深き心を人は知ら-/古今 恋一」 「引き替へて嬉しかるらむ心にも憂かりし事は忘れざらなん/山家 」 〔上代には、この語の古形「なも」も用いられた〕 → なも(終助)

なむ

( 連語 )
〔完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」に推量の助動詞「む」の付いたもの。「なん」とも〕
動作・状態の実現すること、完了することを確認し推測する意を表す。…するようになるであろう。…することになってしまうだろう。 「年を経て花の便りにこととはばいとどあだなる名をや立ち-・む/後撰 春中
動作・状態を実現しようとする強い意志を表す。 「かくだにも妹を待ち-・むさ夜ふけて出で来し月の傾かたぶくまでに/万葉集 2820
動作・状態の実現を勧誘し、また、その実現が適当であるとする意を表す。…したらどうだろう。…したほうがよいだろう。 「忍びては参り給ひ-・むや/源氏 桐壺」 「子といふものなくてあり-・ん/徒然 6
動作・状態の実現を可能であると推量し、また、許容する意を表す。…することができるだろう。…てもかまわないだろう。 「かばかりになりては、飛びおるともおり-・ん/徒然 109

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

なむの関連キーワード悲しび・哀しび乱り脚の気つれなし顔あどう語り南無・南謨木間・樹間夕さりつ方納莫・曩莫物心細し行き失す琴笛の道一方一方なんとす頼もし人事醒まし仲立て利・贏干死に助動詞道閉ず

今日のキーワード

俳句甲子園

1998年から松山市で開かれる全国高等学校俳句選手権大会。高校生が5人1組で句の優劣をディベートで競い合う。チームでの勝敗とは別に、個人の最優秀句も選ぶ。今年は過去最多の41都道府県から121校、15...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

なむの関連情報