ナス科ラッパバナ属Solandraの半つる性の低木で,熱帯アメリカに4~6種が分布する。葉は楕円形か卵状楕円形で全縁,革質で光沢がある。春から夏にかけてみごとな花が葉腋(ようえき)に単生し,花冠は漏斗状,筒部は円筒状でらっぱに似る。花色は白・黄・淡黄色などである。熱帯圏で広く観賞用に栽植される。ラッパバナS.grandiflora Sw.はジャマイカ,メキシコの原産。半つる状で,高さ5~6mに伸びる。葉はやや肉厚で,光沢ある緑色。花は頂生し,大型で芳香がある。開花時は緑白色で,のちに淡褐黄色となり,1日で花をとじる。ナガラッパバナS.longiflora Tussacは,西インド諸島,南アメリカ北部原産。高さは30~60cm。卵状楕円形の葉は,葉柄が赤みを帯びるのが特徴。花は芳香があり,白か黄色,花冠は長さ30cm。どちらも性質は強く,冬は8℃以上を保つようにする。日のよく当たる場所におくが,日陰でも徒長ぎみになるだけで花もよくつく。排水のよい土に植える。繁殖は挿木で,葉を3枚以上つけ,5~7月に挿す。
執筆者:坂梨 一郎
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ナス科(APG分類:ナス科)ソランドラ属の総称。低木または木性のつる植物で、メキシコから熱帯アメリカに約10種分布する。よく栽培されるラッパバナS. grandiflora Sw.はメキシコ、西インド諸島原産で、原産地では10メートル以上に達する。温室内では2~3メートル、冬から春に開花する。花は長さ20センチメートル以上のらっぱ状の大輪で、芳香があり、初めは白黄色でしだいに黄褐色に変わり、4、5日でしおれる。またウコンラッパバナ(マキシマ種)S. maxima P.S.Greenは全株に毛がなく、葉は柄が長く、卵形で光沢がある。花は長さ約25センチメートルのらっぱ状の大輪で、甘い香りがする。花の色は黄色から数日で黄褐色に変わる。沖縄県では冬咲きで、8~10℃で越冬する。日光によく当てる。夏から秋は休眠状態に近いので、灌水(かんすい)は控え目にする。繁殖は挿木がよい。
[高林成年 2021年6月21日]
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…ただし旧大陸においてもヨーロッパのマンドレークmandrake(Mandragora officinarum,ナス科)や熱帯アフリカのイボガiboga(Tabernanthe iboga,キョウチクトウ科),中近東のハシーシュ(Cannabis sativa,クワ科),シベリアのベニテングタケ(テングタケ)など,いくつかの植物が知られている。新大陸では,メキシコのオロリウクイ,聖なるキノコ(シビレタケ属,ヒカゲタケ属,モエギタケ属などに属するキノコ),サボテンの1種であるペヨーテ,北アメリカから南アメリカにかけて用いられるナス科のダツラDatura属やソランドラSolandra属の植物,アマゾニア地方で用いられているヤヘーyajé(Banisteriopsis caapi,B.inebriansなど,キントラノオ科)やマメ科のアナデナンテラAnadenanthera属,ニクズク科のビロラVirola属の植物がある。幻覚薬の90%は,中央アメリカからアマゾニア地方にいたる地域でみられ,それらの地域の文化に対して〈幻覚薬文化〉という呼称が用いられることがある。…
※「ソランドラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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