深刻かつ差し迫った社会的な課題に対してビジネスやマネジメントのスキルを応用し、問題の解決とともに収益の確保にも取り組む企業家。社会企業家や社会起業家ともよばれ、社会企業そのものをさすこともある。社会的を意味する「ソーシャル」と、企業家を意味する「アントレプレナー」を組み合わせた名称である。一般的な企業経営者と異なる点は、企業活動を通して社会問題などに取り組んでいる点に加え、独創的なアプローチによって課題を克服し、新たな価値を創造することにある。ただし、ソーシャルアントレプレナーの定義は、取り組んでいる問題や社会的背景、各地域の実情などに応じて、さまざまに解釈されている。狭義には、行政やNPO(非営利団体)以外の社会的企業(ソーシャルエンタープライズ)を起業して活動する企業家をさす。広義には、事業目的の営利・非営利にかかわらず、よりよい社会を目ざし、通常の企業活動を通して社会に貢献しようとする人までをさすこともある。なお、このような社会企業家に通じる精神性を、ソーシャルアントレプレナーシップとよぶ。
社会貢献を志した企業活動は、古くから行われてきた。しかし、ソーシャルアントレプレナーという名称が広く使われるようになったのは、1980年代のことである。代表例としては、1974年にバングラデシュで発生した大飢饉(ききん)による貧困者を救済するため、マイクロファイナンスを開始したM・ユヌスの活動が挙げられる。ユヌスは貧困のない世界を目ざして1983年にグラミン銀行を創設し、その活動により2006年にノーベル平和賞を受賞した。日本では、カンボジアの貧しい農村の子供を人身売買から守る活動を行う「かものはしプロジェクト」や、ロンドンで始まったホームレスの自立を助ける「ビッグイシューThe Big Issue」などがよく知られている。アメリカのハーバード・ビジネス・スクールでは、1993年以来SEI(Social Enterprise Initiative)というソーシャルアントレプレナー教育の科目を設置して人材養成に取り組んでおり、このような学科やゼミを設ける動きが世界的にみられる。
[編集部 2016年5月19日]
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