日本大百科全書(ニッポニカ) 「タカワラビ」の意味・わかりやすい解説
タカワラビ
たかわらび
[学] Cibotium barometz J. Sm.
タカワラビ科の常緑性大形シダ。葉は3回羽状で、葉裏は白色を帯びる。胞子嚢(のう)群は葉縁にあり、包膜は二弁状である。沖永良部(おきのえらぶ)島以南の琉球(りゅうきゅう)諸島から台湾、中国南部、タイ、マレーシア、インドなどに分布する。葉柄の軟毛は止血に用いられ、根茎はリウマチの治療や腎臓(じんぞう)、肝臓の機能を高めるために利用される。ハワイ産のタカワラビC. billardieriの若芽は食用になる。密な毛に覆われたタカワラビの根茎と葉柄基部とを細工するとヒツジのようにみえるため、中世のヨーロッパではこれを、マンデビルJ. Mandevilleの著した『東方旅行記』に出てくる「タターレアン・ラム」、つまり「ヒツジのなる木」とみなしたという。別名のヒツジシダは、これに由来する。
[栗田子郎]