日本大百科全書(ニッポニカ) 「タンマン」の意味・わかりやすい解説
タンマン
たんまん
Gustav Heinrich Johann Apollon Tammann
(1861―1938)
ロシア生まれ、ドイツ系の物理化学者。デルプト(ロシア、現、タルトゥ)の大学教授からゲッティンゲン大学教授となる。高圧での測定技術を開拓して、氷Ⅱ・Ⅲを発見し、圧力により結晶の多形が存在することを示した。次に、熱力学を使って不均一系における平衡の問題を研究し、固相―液相、固相―気相の境界線は閉じていて、気相―液相にみられるような臨界点は存在しないと考えた(1903)。また冷却曲線の作成とその分析により、固体内での化学結合の有無を知ることを可能にし、金属間化合物をつくりうる元素の組合せを調べた(1906)。そして、金属の冷間加工による変形および再結晶の過程を明らかにし、金相学の発展に貢献した。
[吉田 晃]