室温(学術上は再結晶温度以下)で行う金属塑性加工のこと。高温で行う加工を熱間加工というのに対していう。金属材料は室温ではきわめてわずかしか表面が酸化しないから、塑性加工によって、寸法精度も高く、表面の美しい製品に仕上げることができる。線、管、板を素材とする塑性加工のように、素材の一寸法が非常に小さくしかも高精度が要求される場合には、熱間加工は不適当で、冷間加工が行われる。また、金属材料は室温で塑性変形させると、変形量に応じて硬さが増す加工硬化という現象を示す。したがって冷間加工によって製品の強度を素材のそれよりも高くすることができる。しかし反面、冷間加工用工具にはしばしば非常な高強度が要求される。また、室温では高温の場合に比べて材料の延性が乏しいので、加工度を熱間加工のように大きくとることはできない。材料の延性を増大するためには焼きなましとよばれる熱処理が行われる。
[高橋裕男]
常温加工ともいう.金属材料にその再結晶温度以下で圧延,線引きなどの塑性変形を与え,所要の形をつくる作業をいう.冷間加工は加工硬化のため限られた変形量しか与えることはできないが,またそのため機械的性質を向上させることができる.仕上り精度,表面状態とも良好で仕上加工として適している.[別用語参照]熱間加工
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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