イラン北西部,ケルマーンシャーの北東約12kmにあるササン朝中・後期の磨崖浮彫遺跡。ターケ・ボスターンTāq-e Bostānともいう。地名は〈庭園のアーチ〉の意。中期のものに,アルダシール2世(在位379-383)がアフラ・マズダと太陽神ミトラから王権を授与されている場面を浮彫したいわゆる〈王権神授図〉,イーワーン形の小洞内にシャープール2世(在位309-379)とシャープール3世(在位383-388)を浮彫した記念碑がある。後期のものには,ホスロー2世(在位590-628)ないしそれ以後の国王によって制作されたイーワーン形大洞があり,正面壁にはジッグラト形矢狭間,1対のニケ女神(飛天),聖樹が浅浮彫されている。洞内の奥壁は2段に区切られ,上段に帝王叙任式図(アフラ・マズダとアナーヒター女神),下段に帝王重装騎馬像が丸彫のように作られている。左右の壁面には,帝王の猪狩図と鹿狩図が浅浮彫される。主題上三つに分類されるこれらの彫刻は,帝王の3職能(戦士,神官,農耕・牧畜民の代表・保護者)を図示したものである。
執筆者:田辺 勝美
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【彫刻】
彫刻を代表するものは磨崖浮彫で,現在30余点が知られている。その大部分はササン朝の発祥地ファールス地方に残り,その他の例はクルディスターン地方のターク・イ・ブスターン,アゼルバイジャン地方のサルマースにあるだけである。年代もターク・イ・ブスターン以外はすべて4世紀前半までのものである。…
※「タークイブスターン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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