ダルマガレイ(読み)だるまがれい(その他表記)largescale flounder

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダルマガレイ」の意味・わかりやすい解説

ダルマガレイ
だるまがれい / 達磨鰈
largescale flounder
[学] Engyprosopon grandisquamum

硬骨魚綱カレイ目ダルマガレイ科に属する海水魚。本州の中部地方以南の西太平洋からニュー・カレドニア近海、インド洋の東アフリカにかけて広く分布する。体は高い卵形。両眼は体の左側にあり、幅広いくぼみによって分けられている。有眼側の腹びれは無眼側のものより前方へ進み、下眼の中央下付近から始まる。有眼側の体は淡緑灰色で、尾びれの両縁にそれぞれ1個の明瞭(めいりょう)な黒斑(こくはん)がある。この種には二次性徴が出現する。雄では両眼間隔幅が広く、吻(ふん)端と両眼の前縁に棘(きょく)があり、無眼側は頭を除いて暗灰色である。雌や幼魚では両眼間隔幅は狭く、棘がなく、無眼側は着色しない。

 水深15~45メートルの砂泥底にすみ、多毛類、アミ類などの底生小動物を食べる。手繰網(てぐりあみ)で普通にとれる。体長10センチメートルぐらいにしかならないので、そのまま干物にされる。

 ダルマガレイ属には日本近海から6種が知られている。そのうち本州中部地方以南に分布するチカメダルマガレイE. multisquamumとは、尾びれに1対の黒斑があることでよく似るが、チカメダルマガレイは体がより細く、胸びれは頭長より長いことなどで容易に区別できる。

[尼岡邦夫]


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改訂新版 世界大百科事典 「ダルマガレイ」の意味・わかりやすい解説

ダルマガレイ (達磨鰈)
left-eye flounder

カレイ目ダルマガレイ科Bothidaeに属する魚類総称,またはそのうちの1種を指す。日本には約30種ほどが生息し,中部以南に多く見られる。分類学的には,カレイ科よりもむしろヒラメ科の近縁に位置する。全体の形態が丸みを帯びているところからこの名がつけられている。腹びれと胸びれに分枝軟条があり,無眼側の側線は発達していない。変態前後に大型の幼生になる種が多く,また,幼期には左体側の腹びれの基底が延長し右側のそれより長くなり,背びれの前端が眼の上よりも前方に達している。さらに,背びれの鰭条(きじよう)が伸長している種類も多い。しかし,これらの形質は変態期を過ぎると消滅する。小型種が多く量も少ないのであまり利用されないが,地方によって多獲される種もあり,練製品,干物などにする。ダルマガレイEngyprosopon grandisquamaは,本州中部以南に生息し,水深20m前後の沿岸域に多く見られる。体表は茶褐色に白色や薄茶色の小点で覆われている。尾びれの上下両縁に黒斑が認められるものもある。ガンゾウビラメに似るが両眼間隔の広いことで区別できる。体長13cmに達する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のダルマガレイの言及

【ヒラメ(鮃)】より

…カレイ目ヒラメ科,ダルマガレイ科に含まれる海産魚の総称,またはそのうちの1種を指す。ヒラメ類は,カレイと並び称され,姿も似ているが,カレイ類に比べその種類は少ない。しかし,熱帯から温帯にかけて広く分布し,約200種が知られている。この仲間は,左右の腹びれの位置が対称であるかないか,両眼の位置が体の正中線に対称であるかないかでヒラメ科とダルマガレイ科に分けられる。日本ではヒラメ科は10種,ダルマガレイ科は30種ほど知られるが,これらの中でもっとも重要なものはヒラメである。…

※「ダルマガレイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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