改訂新版 世界大百科事典 「チゴダラ」の意味・わかりやすい解説
チゴダラ (稚児鱈)
morid fish
タラ目チゴダラ科Moridaeの海産魚の総称,または,そのうちの1種を指す。日本近海には,チゴダラPhysiculus japonicus,イソアイナメLotella phycis,イトヒキダラLaemonema longipesなど6属13種ほどが分布しているが,いずれも深海性である。体型はタラに似て長く延長しており,下あごにはひげのあるものとないものとがある。背びれは2基,しりびれは1基で,第1背びれは基底が短いが,第2背びれとしりびれの基底は長い。腹びれは胸の位置にある。頭蓋骨の後面左右両側の外後頭骨に,人間の新生児の頭頂部に見られるような泉門があるのもこの類の著しい特徴である。体色は多くのものが灰褐色を呈する。チゴダラ属Physiculus,イソアイナメ属Lotellaの魚では肛門の前方に発光バクテリアの共生による発光器がある。体の全長は30~50cmのものが多い。底引網などで漁獲されるが,いずれも美味ではなく,産業的価値は低い。
執筆者:日比谷 京
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報