改訂新版 世界大百科事典 「チックテスター」の意味・わかりやすい解説
チックテスター
chicktester
家禽(かきん)の初生雛の雌雄を鑑別するための光学機械で,1950年木沢武夫によって発明された。原理は雛の生殖腺の形の差を,直腸に挿入したガラスの曲管によって腸壁を通して観察し鑑別するもので,ニワトリ用のほかチャボ,シチメンチョウ,アヒルなど各種の家禽用に数種類製作されている。実施の要領は,まず雛を左手で保定し,右手にチックテスターを持ってその先端の曲管を肛門から直腸内に挿入する。接眼部に目を当てると,光源からの照明で雛の腹腔内が薄い腸壁を通して見えるので,雄ならば脊柱の両側に白い米粒状の精巣が,雌ならば脊柱の左側にのみ不正三角形の卵巣を確認し雌雄鑑別する。指頭鑑別法よりも若干鑑別に時間がかかるが,正確でかつ熟練を要する程度が低いという利点をもっている。
執筆者:正田 陽一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報