チョウセンシロチョウ(英語表記)bath white
Pontia daplidicae

改訂新版 世界大百科事典 「チョウセンシロチョウ」の意味・わかりやすい解説

チョウセンシロチョウ (朝鮮白蝶)
bath white
Pontia daplidicae

鱗翅目シロチョウ科の昆虫。やや小型のチョウで,開張は4.5cm前後。雌は後翅表面に多くの黒紋があるが雄にはない。地中海沿岸から中近東,インド,中国,シベリアなどに広く分布し,昔からイギリスでは迷チョウとして有名である。日本には戦前,おもに西日本で記録されたが,1979年に北海道で大発生し,以後,北海道の日本海に注ぐ河川流域に多くの記録がある。西日本の記録は朝鮮半島から,近年の北海道の記録はロシア極東から飛来したものによると推定されている。生息環境は荒地河原が主で,低く速く飛ぶ。幼虫の食草は北海道ではほとんどアブラナ科スカシタゴボウに限られるが,飼育下では他の植物も食べる。ヨーロッパではアブラナ科よりモクセイソウが好まれる。年数回の発生,さなぎで越冬する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョウセンシロチョウ」の意味・わかりやすい解説

チョウセンシロチョウ
ちょうせんしろちょう / 朝鮮白蝶
bath white
checkered white
[学] Pontia daplidice

昆虫綱鱗翅(りんし)目シロチョウ科に属するチョウ。ユーラシア大陸の北部に広く分布するが、日本の土着種ではなく、北海道、本州、九州でまれに発見されるのは迷チョウ、あるいは迷チョウによる一時的発生。はねの開張40~55ミリメートル程度。はねの裏面に一見ツマキチョウやクモマツマキチョウを思わせる特異な黄緑斑(はん)があり、日本および近隣地域にはこれに紛らわしいものはない。類縁的にはツマキチョウ属とは遠く離れたもので、モンシロチョウ属に近縁で、学者によってはモンシロチョウ属に含める場合もある。1979年(昭和54)には北海道ではかなりの発生がみられたが、そのおりに観察された食草はアブラナ科のスカシタゴボウである。

白水 隆]

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