日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョンダラー」の意味・わかりやすい解説
チョンダラー
ちょんだらー
沖縄の芸能。本土からの門付(かどづけ)芸の流れをくみ、万歳や春駒(はるこま)を組み合わせたもので、沖縄本島を中心に鹿児島県徳之島あたりまで分布する。チョンダラー(京太郎)とは京都からやってきた太郎の意。近世初期、美しい妻を領主に奪われ息子とともに京を追われ沖縄に流れ着いた、「絵姿女房」に似た伝説を背負った京太郎の一行が、琉球(りゅうきゅう)王から、自由に喜捨を得て仏教を広めてよいという保証を得たという由来が語り継がれている。彼ら本土からの門付集団は、明治末期まで首里(しゅり)(現那覇市)郊外の行脚村(あんにゃむら)(現安仁屋(あにや)村)に住み着き、正月や稲や麦の収穫のころ、近郊の村々を巡って春駒、仏回し(人形芝居)、念仏などを唱えて生計をたてていた。現在は沖縄市の泡瀬(あわせ)や国頭(くにがみ)郡宜野座(ぎのざ)村に、明治末期に首里の寒川(さむがわ)芝居から習った芸能が伝わっている。両村とも旧暦8月10日前後の豊年祭のときに行い、「早口説(はやくどち)」「御知行(うちぢょう)」「馬舞(うまめー)」「鳥刺舞(とりさしめー)」で構成され、太鼓打ち、踊り手など総勢20人近くで華やかに踊られる。
[宜保栄治郎]