日本大百科全書(ニッポニカ) 「エイサー」の意味・わかりやすい解説
エイサー
えいさー
沖縄諸島全域に伝わる盆踊り。17世紀ごろ仏教(浄土宗)とともに本土から伝来し、首里(しゅり)、那覇を中心にしだいに地方へ広まったようである。歌詞は七五調で、親への孝養を説く「継親念仏(ままうやにんぶち)」「親の御菩提(うやぬぐぶだい)」などを三味線にのせた「仲順流れ(ちゅんじゅんながり)」の節で歌うのが伝統的だが、近年は男女の交遊を歌う八・六の琉歌(りゅうか)調の歌なども付加されるようになった。旧盆の15日夜、精霊送りを済ませたころ、餓鬼に扮(ふん)した男女の若者たちが家々を巡り歩き、庭先で輪になって「エイサー、エイサー」と囃(はや)しながら踊る。八重山(やえやま)列島の精霊(そーろん)アンガマもエイサーと同じく沖縄諸島を経て伝わった盆踊りで、石垣市内の四箇(しか)を中心とする士族アンガマと、それ以外の農村の百姓アンガマの二つに分けられる。百姓アンガマは男女の輪踊りであるが、士族アンガマは、あの世からやってきたとされる面をかぶった翁(うしゅまい)と姥(んみー)に連れられ、ほおかぶりをした一行が家々の庭先で芸能を奉納する。
[宜保栄治郎]