改訂新版 世界大百科事典 「ツチオオカミ」の意味・わかりやすい解説
ツチオオカミ
aardwolf
Proteles cristatus
オオカミの名があるが食肉目ハイエナ科に属する哺乳類である。アードウルフ,ツチハイエナともいう。ソマリランド以南のアフリカ南部および東部に分布。体長55~80cm,尾長20~30cm,肩高45~50cm,体重9~14kg。体型はシマハイエナに似るが,前足の指は5本あり(他のハイエナは4本),口先が細く,耳介が大きく,頰歯(きようし)が異常に小さい。背とくびの毛は長く,おどされると逆立てる。体は灰黄色で黒い横縞がある。ひざから下の四肢,口先,尾端は黒色。開けた砂地や低木林地帯にふつう単独ですむ。夜行性で日中は岩の割れ目やツチブタが捨てた穴に潜む。夜間出歩き,地面ややわらかい土の中にいるシロアリや昆虫を食べる。したがって歯やあごの筋肉は貧弱である。敵に出会うと肛門腺からいやなにおいのする液体を噴射する。繁殖期は分布域の南部では11~12月,ケニアで5月下旬で,子は妊娠期間90~110日の後,1腹1~5子,ふつう2~3子を生む。飼育下では寿命は14歳3ヵ月の記録がある。
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報