日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツヅリガ」の意味・わかりやすい解説
ツヅリガ
つづりが / 綴蛾
stored nut moth
[学] Paralipsa gularis
昆虫綱鱗翅(りんし)目メイガ科に属するガ。はねの開張20~30ミリメートル。はねは細長く、雄では中室が黄赤色で、中室端に小黒点がある。雌は雄より大きく、中室端に大きな黒紋がある。そのためイッテンコクガという別名もある。幼虫は貯蔵穀物の大害虫で、人家や倉庫内にすむ。したがって食料とともに運ばれるので、ほとんど世界中に分布している。雌は150粒くらいの卵を外部から点々と産み付ける。幼虫は、糸を吐き、初めは集まって母ガの死体や米粒の胚芽(はいが)などを食べて成長するが、大きくなるにつれて、多数の穀粒を綴(つづ)り合わせて巣をつくり、粒全体を食べる。老熟すると米俵などの内部で繭をつくることもあるが、天井や柱の裂け目などに多数群がって繭をつくり、蛹化(ようか)する。繭は固くて木質部にまで食い込むので、はがしにくい。年に1、2回の発生で、幼虫態で越冬する。成虫は、屋内の薄暗い所を弱々しく飛んで、配偶者や産卵場所を探し、灯火に誘引されない。
[井上 寛]