改訂新版 世界大百科事典 「ツボカビ」の意味・わかりやすい解説
ツボカビ
chytrids
鞭毛菌類ツボカビ綱Chytridiomycetesの菌。水中に多くいる菌で,腐ったものに生育しているが,寄生生活をするものもある。一般に発達の程度は低く,単細胞で球形をしているものが多い。代表的なものでは球形の細胞が成熟すると,そのままの形で内部に運動性の鞭毛をもった遊泳細胞(遊走子)ができ,外へ出て新しい場所に泳ぎつき,鞭毛を捨ててしだいにふくらみ,元の単細胞の姿にもどる。マツヨイグサに寄生するサビフクロカビ(サビツボカビ。Synchytrium属の菌)で代表されるが,フタナシツボカビ(Rhizophydium属の菌),フクロカビ(Olpidium属の菌)などもよく見られる。肉眼で見つけることは難しいが,釣り餌法でとることができる。この仲間のつきやすいマツの花粉小量を深皿の水に入れ,池,水田などの土を加えておくと,2~3日で花粉の中央細胞の外側,内側に球形~楕円形の菌の細胞が見られる。
執筆者:椿 啓介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報