ツボカビ(その他表記)chytrids

改訂新版 世界大百科事典 「ツボカビ」の意味・わかりやすい解説

ツボカビ
chytrids

鞭毛菌類ツボカビ綱Chytridiomycetesの菌。水中に多くいる菌で,腐ったものに生育しているが,寄生生活をするものもある。一般に発達の程度は低く,単細胞で球形をしているものが多い。代表的なものでは球形の細胞が成熟すると,そのままの形で内部に運動性の鞭毛をもった遊泳細胞(遊走子)ができ,外へ出て新しい場所に泳ぎつき,鞭毛を捨ててしだいにふくらみ,元の単細胞の姿にもどる。マツヨイグサに寄生するサビフクロカビサビツボカビSynchytrium属の菌)で代表されるが,フタナシツボカビRhizophydium属の菌),フクロカビOlpidium属の菌)などもよく見られる。肉眼で見つけることは難しいが,釣り餌法でとることができる。この仲間のつきやすいマツ花粉小量を深皿の水に入れ,池,水田などの土を加えておくと,2~3日で花粉の中央細胞の外側,内側に球形~楕円形の菌の細胞が見られる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツボカビ」の意味・わかりやすい解説

ツボカビ(壺黴)
ツボカビ
Chytridium

藻菌類鞭毛菌類ツボカビ目ツボカビ科の1属。この属の菌は 40種以上も記録されている。すべて水中生活を行う。サヤミドロフシナシミドロ,ミカヅキモ,ホシミドロ,アオミドロヒザオリなど緑藻類に寄生する。また原生動物につくもの,海藻に着生するものの記録もある。本来は全実性の小さな壺形の胞子嚢を形成し,発達した仮根宿主の体内に侵入するが,若干のものでは仮根部が発達して有核となり分実性的になる。胞子嚢は有蓋で単毛の遊走子が逸出する。

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