ティーズteaseは、じらす、悩ます、くすぐる、という意味。広告主や商品名を初めからわざと伏せて、不思議さや意外性で読者の注意をひこうとする広告のテクニックをティーザー・アプローチteaser approachといい、このティーザー・アプローチによってつくられた広告をいう。たとえば、キャンペーンにおいて、最初は会社名もブランド名も明らかにしないで読者の注意をひき、次に商品の特徴や値段を、最後にブランド名を発表する、というふうに、何回かのアプローチを仕組んで完了させる広告である。広告に対する注目度を高めるため、商品名を逆さに入れたり、テレビCMで靴下だけがとことこ歩いたりする広告のように、オヤッと思わせる不思議さをもった広告、人の好奇心に訴えかけて引っ張っていく広告も、ティーザー広告とよばれる。
なお、ティーザー・アプローチは、もともとアメリカで頻繁に使われた技法で、1959年に自動車メーカーのフォード社が新車発売に際し用いて、有名になった広告方法。フォードは、新車エゼルの発売にあたり、最初は発売日だけを告知し、その後も段階的に情報を公開するだけで、発売当日になってやっと「ディーラーのショールームに見に行ってください」というにとどめたという。発売当日には、実にアメリカの人口の半分がフォードのショールームに出かけたといわれている。
[伊藤誠二]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報