翻訳|dilettantism
専門家以外の者が道楽や趣味から学問・芸術などの精神的活動、とくに芸術創作にいそしむこと。イタリア語のdilettare(楽しむ)を語源とし、それに携わる人をディレッタントとよぶ。このような現象は、独立した職業としての芸術家が成立し、芸術が市民階級に浸透した18世紀後半に出現したものであるが、美学、芸術論などでは、ディレッタント通有の精神態度・傾向の総称としてこの概念を用いるようになった。この場合には、同様の態度で芸術を鑑賞する場合も含み、真の美的体験に備わるべきたいせつな何かを欠いているという意味で、否定的ニュアンスが含まれることが多い。ゲーテは、とくに自己の行為を客観的に反省しようとする批判精神を欠いているとし、主観主義におぼれたひとりよがりに陥るものとして性格づけた。またガイガーMoritz Geiger(1880―1937)は、作品そのものを閑却して自己の感情の享楽に精神を奪われる(内方集中)点において、作品自体に精神を集中する(外方集中)真の美的体験とは異なるとした。
[渡辺 裕]
「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...
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