海外の最先端の医療機器が日本の医療現場で使われるまでの時間差。医療分野でデバイスdeviceは医療機器をさし、ラグlagは時間差を意味する。日本では欧米に比べ最先端の医療機器が承認されるまで長い時間がかかるとされ、この時間的な遅れをさす。転じて、海外で一般的に使われている医療機器が日本では治療に使えない状態(デバイス・ギャップdevice gap)をさして使われる場合もある。新薬の承認が欧米に比べて遅れるドラッグ・ラグとともに、2000年代前半から社会問題化し、広く知られるようになった。
日本における医療機器の承認は、とくに身体に埋め込む機器で遅れが目だっており、人工股関節(こかんせつ)、血管用ステント、糖尿病用インスリン自動注入器、補助人工心臓などがデバイス・ラグの象徴とされてきた。たとえば腹部大動脈瘤(りゅう)の治療で人工血管として使う「ステントグラフト」は1997年にヨーロッパで、1999年にアメリカでそれぞれ承認・認可されたが、日本で承認されたのは2006年(平成18)であった。厚生労働省の調査によると、新しい医療機器の審査期間は2005年時点でアメリカでおよそ1~2年なのに対し、日本では2006~2011年時点でおよそ3~4年かかっていた。また2010年のアメリカ医療機器・IVD工業会の調査では、日本で使える医療機器の種類は欧米のおよそ半分にとどまっていた。日本では医学・工学・薬学にわたる横断的専門知識をもつ審査官があまり育っていないうえ、医療機器の臨床試験(治験)に協力する患者が集まりにくく、治験コストが高く、設備も不十分である。さらに厚生労働省の審議会に諮るための手続きなどが煩雑で、審査体制が十分でないことがデバイス・ラグを招いている。なお日本で使えない医療機器は海外製のものが多いが、なかには日本で開発された運動障害改善ロボットのように、海外では承認されても、日本では未承認で使えないという事態も起きている。政府は2008年にデバイス・ラグ解消に向けたアクションプログラムを策定し、審査を行う独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は5か年計画で人員を増強し、機器審査担当員を100人超に増やした。これによりデバイス・ラグは改善傾向にあるものの、欧米との差は縮まっておらず、2015年1月には欧米で承認された小児用補助人工心臓が日本で使えないため、拡張型心筋症であった6歳未満の女児が死亡する事例が起きている。
[編集部]
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