デミアン(読み)でみあん(その他表記)Demian

デジタル大辞泉 「デミアン」の意味・読み・例文・類語

デミアン(Demian)

ヘッセ長編小説。1919年、匿名発表。主人公シンクレールが、神秘的な少年デミアンを通して真の自己を発見していく過程を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デミアン」の意味・わかりやすい解説

デミアン
でみあん
Demian

ドイツ作家ヘルマン・ヘッセの長編小説。1919年、第一次世界大戦で重傷を負った青年遺稿の形で発表された教養小説。初め匿名にしたのは、作者が自分の過去を清算し、新しい方向を目ざす意図からである。主人公シンクレールは、神秘的な力をもつデミアンや、その母親で理想の女性エバ夫人の導きによって、心奥に無限の世界をみつけ、自分の道と運命を認識する。中心的なテーマとしてニーチェ教義「汝(なんじ)自身になれ」が強調され、精神分析学やアジア的英知も織り込まれる。この作品は、敗戦直後のドイツの青年層に熱狂的に迎えられ、わが国でも数十年来、つねに多くの愛読者をもってきた。

[藤井啓行]

『『デミアン』(高橋健二訳・新潮文庫/実吉捷郎訳・岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デミアン」の意味・わかりやすい解説

デミアン
Demian

ドイツの詩人,作家 H.ヘッセの小説。 1919年刊。少年シンクレールは,級友デミアンを通して,人生の暗い世界の意義を知るようになり,善悪を包摂する神アブラクサスを予感する。また,人類の母イブを思わせるデミアンの母から,自己の願いに忠実な生き方を教えられる。新生に伴う崩壊を象徴する第1次世界大戦で負傷したシンクレールは,瀕死の床でデミアンと邂逅し,真の自己自身を見出す。

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