日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュピュイトラン」の意味・わかりやすい解説
デュピュイトラン
でゅぴゅいとらん
Guillaume Dupuytren
(1777―1835)
19世紀前半のヨーロッパでもっとも盛名を得たフランスの外科医、病理解剖学者。リモージュの南、ピエール・ブフィエールに弁護士の子として生まれる。初め軍人を目ざすが、父の命令で外科医を目ざすことになり、17歳でパリに出て試験に合格、解剖助手になり、1年で1000体の解剖を行い、所見を整理し、標本を整備した。1802年オテル・ディユ病院の外科助手、1815年に主任となった。彼の日課は、毎朝6時の日診から始まり、夜遅くまで、多少の余暇があれば病理解剖室で過ごした。患者には親切であったが、病院スタッフには「冷血」で知られた。彼の名を冠する病気、症状も残っている。
[中川米造]