知恵蔵 「データベース消費」の解説
データベース消費
データベース消費においては、80年代の「機動戦士ガンダム」に代表されるように、作品の深遠なメッセージを内包した「大きな物語」に目は向けられない。ストーリーへの関心も希薄で、キャラクターのデザインや細部の設定が欲求・欲望の対象となる。90年代後半のアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」がデータベース消費の典型で、放映後、ヒロイン綾波レイを主人公にした(または模した)同人コミックやシミュレーションゲームなどが大量に流通した。東によると、こうした消費主体の台頭は決して短期的なものではなく、進歩思想やイデオロギーなどの「大きな物語」を共有化させる圧力が衰退した現代社会(ポストモダン)の性格を反映したものという。データベース消費の大衆化の例として、AKB48(2005年誕生)、ボーカロイド初音ミク(07年誕生)、世界的大ヒットとなった女性向け官能小説『Fifty Shades of Grey』(『Twilight』のFan Fic=ファンによる二次創作、11年刊行)などが挙げられる。
(大迫秀樹 フリー編集者 / 2012年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報