フィギュア(読み)ふぃぎゅあ(英語表記)figure

翻訳|figure

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィギュア」の意味・わかりやすい解説

フィギュア
ふぃぎゅあ
figure

ポリストーンや塩化ビニルなどの合成樹脂素材を使い、実物そっくりにつくった観賞用の造形物。動物や恐竜アニメーションやゲームのキャラクター、自動車、ロボットなどがある。フィギュアとは、「かたどったもの」「彫像」などを意味する英語である。人形以外は、ミニチュアあるいは模型とよばれるものであるが、まとめてフィギュアと称している。おもに2種類があり、「塗装済み品」とよばれる大量生産された完成製品の造形物と、「ガレージキット」という高度な組み立て模型や未塗装の半製品に分けられる。製品の原型の製作者は「原型師」や「プロモデラー」とよばれている。この原型の製作担当者は、美少女フィギュアや可動型のアクションフィギュアなどのように、それぞれの得意分野をもっており、造形物の芸術作家として活躍している人も少なくない。

 1980年代にアニメーションや漫画の美少女キャラクターの立体作品を制作していた秋山徹郎(てつお)(1963― )が、アニメーションや模型の専門誌などで話題を集めたことがフィギュアというジャンルの確立につながった。当時は「オタク」を象徴する嗜好性の強いものであった。しかし、模型会社の海洋堂(大阪府門真(かどま)市)が製作したフィギュアの玩具おまけにした菓子チョコエッグ(発売元フルタ製菓)がブームをよび、食玩(しょくがん)とよばれて、子供から大人の間までフィギュア収集が人気を集めた。これをきっかけにフィギュアが幅広い世代に浸透し、一般的な玩具の一つとして理解されるようになった。2013年(平成25)4月には、大阪芸術大学(大阪府河南町)キャラクター造形学科に、フィギュア制作を専門に教える「フィギュアアーツコース」が開設されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィギュア」の意味・わかりやすい解説

フィギュア
figure

映画,テレビ,まんが,アニメーションに登場するキャラクターをモデルにつくられた観賞用の造形物。 1964年に模型店として創業した海洋堂が,1980年代からガレージキット (少量生産・高品質の組立模型) のメーカーに転身既存の商品に満足できなかったマニアや高年齢層からも圧倒的な支持を得たことで,フィギュアおたくと呼ばれる人たちの誕生にもつながった。 1990年代には,食品キャンペーンなどでおまけとして使われる食玩という分野が開拓され,大量生産・低価格であったためにフィギュアの大衆化に貢献した。フィギュアを製作する人は造形師と呼ばれ,美少女系,自然史系,特撮キャラクター系,動物系,ロボット系,妖怪系といった各分野で技能を発揮している。

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