トックリラン(その他表記)Nolina recurvata Hemsl.

改訂新版 世界大百科事典 「トックリラン」の意味・わかりやすい解説

トックリラン (徳利蘭)
Nolina recurvata Hemsl.

茎の基部がふくらみ,とっくり形をなす木本状の単子葉植物リュウゼツラン科)。形がめずらしいので観賞用に供され,地植えや鉢植えとされる。属名のカタカナ読みでノリナともいわれる。原産地はメキシコ南部からベネズエラ。高さは通常1mくらいであるが,原産地では上部で枝を分枝し10mくらいになることもある。葉は線形で薄く,緑色をなし,長さ90cm~2m,幅約3cm。葉はそりかえって曲がり,垂れ下がる。茎頂の大きな円錐花序に小さな花を多数つける。しかし,温室では開花するほど生長することはない。葉はバスケットを編むのに使用される。繁殖は実生や挿木などのほか,匍匐枝(ほふくし)でふやす。用土は腐葉土や砂の多い排水の良い土が適する。高温な夏期は十分な灌水を行い,冬期は乾燥ぎみにする。多湿腐敗を生じやすい。温室内で育て,空間をあけ日当りをよくするように心がける。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トックリラン」の意味・わかりやすい解説

トックリラン
とっくりらん / 徳利蘭
pony tail
[学] Beaucarnea recurvata Lem.

リュウゼツラン科(APG分類:キジカクシ科)の常緑小高木。属名をボーカルネアBeaucarneaとしないで、ノリナNolinaとして記載することもある。高さ8~9メートルに達する。茎の下部円錐(えんすい)状に太く肥大し、表皮が細かく裂けてゾウの足のようになる。葉は細く、革質で茎頂部に固まってつく。アメリカ南西部とメキシコの乾燥地に分布し、明治中期に渡来し、多肉植物として栽培されてきた。和名は肥大した幹の形を徳利(とっくり)に見立てたもの。

 実生(みしょう)または挿木で繁殖し、実生若苗は基部が球状に肥大する。乾燥に強く、乾燥状態であれば5℃以上で越冬する。仲間は10種ほど知られるが、日本ではトックリラン以外は普及していない。

[高林成年 2019年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トックリラン」の意味・わかりやすい解説

トックリラン(徳利蘭)
トックリラン
Beaucarnea recurvata(Nolina recurvata)

リュウゼツラン科の小高木。メキシコ原産で高さ2~3mになる。幹の下部が徳利状にふくれるのが特徴。幹の頂部から,幅 1.8cm前後で長さ 80~100cmの線状葉を密に出し,先端は垂れ下がる。最低耐寒温度は3℃程度。暖地では露地植えができるが,一般に鉢植えで栽培する。小さな株は,毎年一回り大きな鉢に植替えれば,それに合せて大きく生育する。水はけのよい用土を使い,よく日に当てて育てる。春から夏の生育期には十分水を与え,冬は控え目にする。

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