トッツィ(読み)とっつぃ(英語表記)Federigo Tozzi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トッツィ」の意味・わかりやすい解説

トッツィ
とっつぃ
Federigo Tozzi
(1883―1920)

イタリアの小説家。シエナ近郊の父親の農場で病弱と粗暴な父親との確執ゆえに不安な少・青年期を送る。文学形成は独習によったが、一時鉄道に勤め、父親の死後、農場を継ぐべき故郷へ帰った。友人とともに『塔』誌を創刊、行動的カトリシズム再建を唱えた。1914年ローマへ出て19年に自伝小説『目を閉じて』を発表、ピランデッロボルジェーゼの評価を得たが、精神的な焦燥と経済的な苦境は変わることなく、翌年肺病で急逝。没後出版の二作『三つの十字架』(1920)、『農場』(1921)によって、第一次世界大戦直後の小市民層のいわく言い難い不安を表現した作家として、遅まきながら真価を認められた。

[古賀弘人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トッツィ」の意味・わかりやすい解説

トッツィ
Tozzi, Federigo

[生]1883.1.1. シエナ
[没]1920.3.21. ローマ
イタリアの詩人小説家。『緑の牧笛』 La zampogna verde (1911) など,初期詩集にはダンヌンツィオやロシア神秘主義の影響が強い。のちにピランデッロの主宰する雑誌編集。小説に『目を閉じて』 Con gli occhi chiusi (20) ,『3つの十字架』 Tre croci (20) など。

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