ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カトリシズム」の意味・わかりやすい解説
カトリシズム
Catholicism
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翻訳|Catholicism
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キリスト教の諸教派のうち、ローマ教皇の下に統一されているカトリック教会の体制、教義、またそこに理論的根拠をもつ思想などを一般的にさす。教皇の至上権を認めないプロテスタンティズムとの対立概念。ただしカトリック教会の公用語としては用いられないので、この立場からすれば、教会または信者の社会的、文化的活動の意味に限定される。
思想としてのカトリシズムは、中世を通じてしだいに形成され、トマス・アクィナスによって古典的に完成された。神を頂点とし、すべての存在が神を目ざして運動するという神学的世界像、自然法思想、政治思想における共通善概念などがその特徴である。しかし、トマス思想は近代に入るとスコラ主義として硬化する。フランス革命以降、カトリシズムはしばしば反動思想となり、とくにマルクス主義成立以降は、無神論反対とも結び付いて強く反社会主義的であった。しかしラムネやラコルデールなどフランス19世紀の自由カトリシズム、20世紀初頭フランスやドイツでのネオ・トミズム(新トマス主義。とくに社会の階級分裂克服のために、トマス・アクィナスの共通善概念の意義を強調し、また社会と個人・人格の調和的発展を主張する法哲学および政治思想上の運動)などには、独自の社会批判とヒューマニズムがある。現代では第2回バチカン公会議(1962~65)以降の諸教会合同運動(エキュメニズム)への動き、ベトナム戦争以後の、日本も含めて各国教会内での人権と平和主義志向などもあり、カトリシズム全体としては保守的ではあるが、内部には多様性が目だっている。
[半澤孝麿]
『J・ダニエル、J・ホル、J・プーパル著、朝倉剛・倉田清訳『カトリック――過去と未来』(1981・ヨルダン社)』▽『K・v・アーレティン著、沢田昭夫訳『カトリシズム――教皇と近代世界』(1973・平凡社)』▽『糸永寅一他監修『ヨーロッパ・キリスト教史』全六巻(1970~72・中央出版社)』▽『上智大学宗教思想研究所編・訳・監修『キリスト教史』全11巻(1980~82・講談社)』
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