日本大百科全書(ニッポニカ) 「トマシェフスキー」の意味・わかりやすい解説
トマシェフスキー
とましぇふすきー
Борис Викторович Томашевский/Boris Viktorovich Tomashevskiy
(1890―1957)
ソ連の文芸学者。ロシア・フォルマリズム運動を担った中心的人物の一人。フォルマリスト的立場を鮮明に打ち出した主要著作としては、韻律論を扱った『ロシア詩法』(1923)、独自の詩学を展開した『文学理論』(1925)があげられる。韻律論の分野では、一般理論以外に、個々の詩人、とりわけプーシキンに関する一連の著作でも高く評価されている。またテキストロジーの面でも名を馳(は)せており、理論書『作家と書物』(1928)を著しているほか、プーシキン、ゴーゴリ、チェーホフその他のロシアの古典の編集・出版にかかわっている。
[桑野 隆]