トリチェリの定理(読み)とりちぇりのていり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリチェリの定理」の意味・わかりやすい解説

トリチェリの定理
とりちぇりのていり

器に液体を入れ、器の壁に穴をあける。穴は容器の大きさに比べ十分小さいとすると、流れは定常状態としてよい。このとき穴から流れ出す液体の速さvは、

で表される。これをトリチェリ定理という()。ここでgは重力加速度9.8m/s2h水面から穴までの深さである。トリチェリの定理はベルヌーイの定理
  P+(1/2)ρv2+ρgz一定
を用いると証明できる(ρは液体の密度)。穴の位置をz=0にとると、水面の高さはzhの位置にあり、容器が十分大きいため水面の下がる速度はゼロと置ける。穴の位置および水面にかかる圧力はともに大気圧pに等しい。したがって、
  P+ρghP+(1/2)ρv2
の等式が成り立ち、穴から流れ出す液体の速度が

と求められる。

池内 了]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリチェリの定理」の意味・わかりやすい解説

トリチェリの定理
トリチェリのていり
Torricelli's theorem

容器の中の液体が,壁にあけた小さな穴から流出するとき,液体の粘性を無視すれば,流出速度の大きさは ( g は重力加速度,h は穴から液面までの高さ) で与えられる。これをトリチェリの定理という。この q の値は,物体の自由落下速度に等しく,また,液体の流出方向には依存しない。

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