トリバガ

改訂新版 世界大百科事典 「トリバガ」の意味・わかりやすい解説

トリバガ (鳥羽蛾)

鱗翅目トリバガ科Pterophoridaeの昆虫総称。開張1~2cmの小型種を含む科で,大部分の種が前翅は2本,後翅が3本の羽状翅に分かれ,ことに後翅は細長い枝状になっている。体は細く,脚は長い。まれには前翅も3本の枝に分かれ,あるいはまったく羽状翅に分かれない種もある。ほとんど全世界に分布しているが,日本では56種が記録されている。成虫はよく灯火に飛来するが,日中草地を飛んでいることもある。静止するときは,翅を広げたまま後翅を前翅の下に隠すことが多く,背上にたたむことはない。後脚を腹に接するようにして後方にのばすので,静止姿勢はT字形である。幼虫は芋虫型で,長い剛毛が生えている。草の葉を食べるものが多いが,一部はつる植物などにつく。茎にトンネルを掘って潜るもの,花,つぼみ,あるいはマメ科のさやに食入するものもある。孤立した海洋島にもこの科が分布しているのは,風によって運ばれ,土着することがあるからであろう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリバガ」の意味・わかりやすい解説

トリバガ
とりばが / 鳥羽蛾

昆虫綱鱗翅(りんし)目トリバガ科Pterophoridaeの総称。この科の種類は、はねの開張10~30ミリ。小形のガで、体、はねはともに細長く、脚(あし)は長い。前翅は深く切れ込んで二つに分かれ、後翅は基部近くから3本の羽状翅に分かれていることが多い。前翅・後翅とも後縁部に特殊化した鱗粉を列生したり、塊となって生えていることが多く、グループによっては、脚に鱗粉が固まって生えている。触角は糸状で、前翅より短い。ほとんど全世界に分布し、日本からは56種が知られている。夜間灯火に飛来するが、昼間草地を飛んでいる姿がよくみられる。静止するときは、はねを開き、後翅は前翅の下に隠され、後脚を後方に一直線に伸ばす。幼虫は草やつる植物の葉を裏側から食べたり、糸を吐いて折り曲げて食べたり、花や果実、あるいは茎に潜ったりする。害虫としてとくに重要視されている種はないが、サツマイモトリバは九州より南方で、サツマイモの害虫とされているし、ブドウトリバはブドウの葉や花を食べる。

[井上 寛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリバガ」の意味・わかりやすい解説

トリバガ
Pterophoridae; plume moth

鱗翅目トリバガ科の昆虫の総称。小型のガで体は細く,色彩は淡灰色ないし灰褐色の地味なものが多い。翅は他のガ類のような1枚の片状をなさず,深く裂け,普通前翅は2片,後翅は3片の細い羽状翅に分れる。肢は非常に細長く,発達した距をもつ。幼虫は植物の花や葉を食べる。世界に約 600種,そのうち日本に約 60種を産する。

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百科事典マイペディア 「トリバガ」の意味・わかりやすい解説

トリバガ

鱗翅(りんし)目トリバガ科の総称。小さなガで開張30mm以上の種類は少ない。灰色または褐色の目立たない色彩で,翅に数本の深い切れ目があり,静止する時にはT字状にたたむ。幼虫は植物の葉を食べるが虫こぶを作る種類も少なくない。日本に50種以上,フキトリバ,ブドウトリバなど。

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