日本大百科全書(ニッポニカ) 「トーレ」の意味・わかりやすい解説
トーレ(Joseph Paul Torre)
とーれ
Joseph Paul Torre
(1940― )
アメリカのプロ野球選手(右投右打)、監督。大リーグ(メジャー・リーグ)のミルウォーキー・ブレーブス(1966年よりアトランタ・ブレーブス)、セントルイス・カージナルス、ニューヨーク・メッツでおもに捕手、一塁手、三塁手としてプレー。1977年からはメッツ、ブレーブス、カージナルス、ニューヨーク・ヤンキースで監督として采配(さいはい)を振るう。現役時代は好機に強い打撃で鳴らした強打者であり、またヤンキースにふたたび黄金時代をもたらした名将としても知られている。
7月18日、ニューヨーク市ブルックリンで生まれる。セント・フランシス・プレップ高から1959年、ブレーブスに入団。翌60年からマイナー・リーグでプロ生活をスタートさせたが、当時は捕手であった。1年目から首位打者を獲得し、大リーグ昇格も果たした。1963年からレギュラーとして定着して、65年にはゴールドグラブ賞を受賞。1966年にチームはアトランタへフランチャイズを移転したが、68年までブレーブスの正捕手を務めた。1969年にカージナルスに移籍し、一塁手に転向した。1971年には三塁手専任となり、ホームラン24本ながら、打率3割6分3厘、打点137で二冠王となり、最優秀選手(MVP)に選ばれた。1975年にメッツへ移籍したが、77年からは監督兼任となり、同年限りで現役は引退した。1982年にはブレーブスの監督に就任、地区優勝したが、84年限りで退団。1990年途中からカージナルスの監督となったが、95年の途中で解任された。1996年からはヤンキースの監督に就任。1年目にワールド・シリーズを制覇し、最優秀監督賞にも選出された。その後、2回目の最優秀監督賞を受賞した1998年からワールド・シリーズ3連覇を達成した。2001年からも2回のリーグ優勝、5回の地区優勝を果たしてヤンキースの黄金時代を築き上げた。
[山下 健]
2006年以降
2006年以降も監督としてヤンキースを率い、06年にはアメリカン・リーグ東地区優勝。2007年シーズン中には大リーグ史上10人目となる監督通算2000勝を達成したが、チームは地区2位に終わり、この年を最後に12年間務めたヤンキース監督を退任した。2008年、ロサンゼルス・ドジャースの監督に就任。
選手としての18年間の通算成績は、出場試合2209、安打2342、打率2割9分7厘、本塁打252、打点1185。獲得したおもなタイトルは、首位打者1回、最多安打1回、打点王1回、MVP1回、ゴールドグラブ賞1回。監督としての2007年までの通算成績は、2067勝1770敗、リーグ優勝6回、ワールド・シリーズ優勝4回、最優秀監督賞2回。
[編集部]
『ジョー・トーリ、ヘンリー・ドレイアー著、北代晋一訳『覇者の条件 組織を成功に導く12のグラウンド・ルール』(2003・実業之日本社)』▽『ジョー・トーリ、広岡勲著『ジョーからの贈りもの――若きサムライの日々』(2005・アイビーシーパブリッシング)』