日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドイッセン」の意味・わかりやすい解説
ドイッセン
どいっせん
Paul Deussen
(1845―1919)
ドイツの哲学者、インド哲学者。キール大学哲学科教授。ニーチェとともにギリシア古典を学び、のちカント研究を経て、ショーペンハウアーの「意志」の哲学から大きな影響を受ける。やがて当時勃興(ぼっこう)し始めたインド哲学・文献学研究に生涯を捧(ささ)げて、卓越した諸業績を次々と公刊し、ヨーロッパのインド学研究の基礎を築いた。とくに『ウパニシャッド六十篇(ぺん)』『マハーバーラタの哲学詩』などは、今日も広く読まれる。さらに『一般哲学史』2巻(1894~1917)を完成、この第1巻3部はインド哲学、第2巻3部は西洋哲学の全般にわたり、比較思想を世界で最初に開拓した。
[三枝充悳 2015年3月19日]