改訂新版 世界大百科事典 「ドイッセン」の意味・わかりやすい解説
ドイッセン
Paul Deussen
生没年:1845-1919
ドイツの哲学者,インド学者。1887年ベルリン大学教授,89年以来キール大学教授。ニーチェの学生時代の友人であり,ニーチェとともに,ペルシア語からの重訳を通じウパニシャッドの哲学に興味をもっていたショーペンハウアーの影響を強く受け,インド哲学の研究に向かう。やがてショーペンハウアーから離れたニーチェとは仲たがいする。インド哲学をドイツに紹介した功績は大きく,また,《ショーペンハウアー全集》の編纂者でもある。なお,東大の宗教学教授で,初代図書館長でもあった姉崎正治はドイッセンの下に学んだ。
インド哲学の研究者としてのドイッセンは当然のことながらウパニシャッドを中心に研究した。彼はおもだった60種のウパニシャッドを翻訳し,それらの成立の先後関係とおよその年代を推定し,97年《ベーダの60のウパニシャッド》を出版,西欧におけるウパニシャッド研究に一期を画した。またウパニシャッドの哲学説を継承発展させたベーダーンタ哲学の研究である《ベーダーンタ哲学体系》(1883)も重要である。哲学一般に関する主著としては《形而上学の要素》(1877),《一般哲学史》2巻(1894,99)等があげられる。
執筆者:三島 憲一+高橋 明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報