走行中や停車中の車内外の映像や音声を記録する車載装置。フロントガラスの上部に取り付けるタイプが多い。タクシーや路線バスなどで使われ始め、あおり運転の被害増加を背景に、自家用車に搭載する人が増えている。事故の際の映像を警察や保険会社が証拠や資料として採用することもある。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
自動車に搭載する記録装置で、車載型画像記録装置ともいう。自動車に事故や急ブレーキなどの大きな衝撃が加わると、その前後の一定時間の映像や画像、日時、位置、音声、速度などの情報を記録する。いわば航空機に搭載されているフライトレコーダーの自動車版といえるが、ドライブレコーダーという名称は和製英語である。英語ではイベントデータレコーダーevent data recorder(EDR)という。一般的には車室内のルームミラー付近にカメラを固定して、運転手の視線と同様の前方の映像をつねに撮影し、大きな衝撃を感知すると、その前の一定時間(十数秒から1分程度)の映像を保存する。記録方法や記録時間は機種や機器の設定によって異なるが、記録時間が数時間に及ぶものもある。
事故を起こしたとき、ドライブレコーダーに残された記録があれば、客観的な事故分析が可能となり、損害賠償の手続きがスムーズに進められるという利点がうたわれている。一方で、ドライブレコーダーの記録はデジタル映像であるため、現状では改竄(かいざん)が可能になるとの判断から裁判の証拠に採用されにくいという問題がある。駐車中には盗難防止装置としての効果も期待されており、自動車の破損や盗難を見張る防犯カメラとして作動するものもあるほか、タクシーでは車室全体もしくは後部座席を中心に写すことで犯罪の抑制と事件後の犯人特定に備えている。
市販されているドライブレコーダーは自家用と業務用の2種に大別できる。業務用では、前述した映像データ記録機能に加えて、方向指示器やブレーキの作動状況、速度や加速度などタコグラフが備えていた運行データ記録機能も備えている。さらに機種によっては、車両の位置情報など移動の情報も記録するほか、携帯電話などの移動通信システム(テレマティクス)を経由して管理者(事業者)に送信し、運転者の安全運転教育や運行管理などに活用することも行われている。しかしながら、こうした高度なドライブレコーダーがドライバーへの過度な運行管理やプライバシーの侵害につながるとの危惧(きぐ)もある。
上記の種々の問題があるものの、事故発生の抑制に効果が期待できることから、国土交通省のほか警察庁も運輸事業者に向けて、道路運送車両法に基づく道路運送車両の保安基準で装着が求められている「運行記録計」(タコグラフ)に加えて、ドライブレコーダーの活用を勧めている。また、事故の分析や安全性の向上、盗難防止が期待されることから自家用車にも普及が始まっている。2016年(平成28)3月、貸切バスへの設置が義務づけられた。
[伊東和彦 2016年8月19日]
( 原田英美 ライター/2018年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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