あおり運転(読み)あおりうんてん

共同通信ニュース用語解説 「あおり運転」の解説

あおり運転

2017年6月に神奈川県の東名高速道路夫婦が死亡した事故を機に社会問題化した。法律上の明確な定義はなかったが、19年8月に茨城県常磐自動車道で起きたあおり運転殴打事件などにより法改正の動きが加速。20年6月施行の改正道交法で「妨害運転」と定め、他の車の通行を妨げる目的での急ブレーキや車間距離不保持など10種類の行為を規制した。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、免許は即取り消しで欠格期間は2年。「著しい危険」の場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金、欠格期間3年。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「あおり運転」の意味・わかりやすい解説

あおり運転
あおりうんてん

他の車両の通行を意図的に妨害する運転。車間距離を極端に詰めることや、急な進路変更を行うこと、他の車の前で急ブレーキをかけることなどが該当する。2017年(平成29)6月に東名高速道路上で起きた死亡事故(追い越して進路をふさぐように車線変更や減速を繰り返す妨害運転を受けたことで、停止を余儀なくされた車両が大型貨物自動車に追突されたもの)がきっかけとなって、同様の悪質・危険な行為が「あおり運転」として社会問題となった。2020年(令和2)に道路交通法と同施行令が改正され、他の車両の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持、進路変更禁止違反などの違反行為で、相手方の車両に交通の危険を生じさせるおそれのある方法による運転をした場合を、妨害運転として、3年以下の懲役または50万円以下の罰金(違反点数は25点で運転免許の取消処分対象、欠格期間2年)とし、それによって高速自動車国道等で他の自動車を停止させるなどをした場合を、最長で5年以下の懲役または100万円以下の罰金(違反点数は35点で運転免許の取消処分対象、欠格期間3年)とすることとした。また、同年自動車運転死傷行為処罰法が改正され、妨害目的の運転による事故を広く危険運転致死傷罪の対象となりうるように、走行中の車両の前方で停止する行為などによる場合が追加されている。

[田村正博 2021年3月22日]

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