日本大百科全書(ニッポニカ) 「フライトレコーダー」の意味・わかりやすい解説
フライトレコーダー
ふらいとれこーだー
flight recorder
航空機事故の原因解明のために航空機に搭載されている飛行記録装置。最大離陸重量が5700キログラム以上の航空機はこの装置を搭載することが義務づけられ、離陸を開始するときから着陸して滑走を終えるまでの間、常時作動させておかなければならない。
フライトレコーダーは、最初はアナログ方式のFDR(flight data recorder)が用いられ、高度、対気速度、垂直加速度、機首方位、経過時間の五つのデータが記録されていた。ボーイング747型機をはじめ最近の航空機にはデジタル方式で磁気テープに記録されるDFDR(digital flight data recorder)が搭載されており、FDRの五つのデータのほかに、飛行機の姿勢、操縦翼面の動き、エンジンの運転状態、航空交通管制機関と連絡した時刻など20種以上のデータがエンドレス形式で25時間分記録されている。装置は、航空機が事故のとき破損しないように、耐熱・耐衝撃構造のカプセルに収められ、機体尾部のテールコーンの部分に取り付けられている。データの読み取りはコンピュータ処理によって行い、プリントアウトしたデータを使用して解析を行っている。フライトレコーダーの記録は少なくとも60日間保存することになっている。
[青木享起・仲村宸一郎]