ナタン(読み)なたん(英語表記)Nātān ヘブライ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナタン」の意味・わかりやすい解説

ナタン
なたん
Nātān ヘブライ語
Nathan 英語

旧約聖書』(「列王記」上・1章、「サムエル記」7、12章)に登場する人物。ダビデ宮廷に仕えた預言者で、ソロモンの教師。ナタンは、ダビデが神のために家(神殿)を建てようと考えたとき、神はそれを望まず、むしろダビデのために家(王国)を建て、長く栄えさせるであろうという預言を伝えた。これはナタン預言とよばれ、ダビデ王朝の正当性の根拠となり、後のイザヤエレミヤの預言に対しても影響が及ぶ。ダビデの後継者選出にあたって、年長のアドニヤが王位継承権を主張したのに対し、ソロモン擁立を画策した。ここには、軍の長や祭司を巻き込む古代王朝の王位継承の権力闘争があった。

市川 裕]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナタン」の意味・わかりやすい解説

ナタン
Nathan, Jacques

[生]1910.3.26. パリ
フランスのグラフィックデザイナー。パリの美術学校でデザインを学んだのち,『今日の建築』誌のレイアウトを担当。その後商業広告のデザインをはじめ,官公庁の広報のためのデザイン,アートディレクターとして活躍。第2次世界大戦に従軍しドイツ軍の捕虜となったが,戦後いち早く活動を始め,カッサンドルの後継者と目された。

ナタン[ガザ]
Nathan of Gaza

[生]1644. エルサレム
[没]1690. マケドニア,ソフィア
サバタイ・ツェビの熱心な信奉者。サバタイ・ツェビがメシアを自称したとき彼に従い,みずからもメシアへ道を開く「復活したエリヤ」と称した。メシアが 1666年に現れ武力によらずにサルタンを駆逐し,イスラエルを地上の王国とすると預言した文書を発見したと偽って運動を推進した。

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