ナホム書(読み)なほむしょ(英語表記)The book of Nahum

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナホム書」の意味・わかりやすい解説

ナホム書
なほむしょ
The book of Nahum

旧約聖書』中の十二小預言書に属し、ユダの地エルコシ出身の預言者ナホムによる、アッシリア首都ニネベ滅亡(前612年)の託宣預言である。わずか3章に及ぶ内容だが、1章12~2章1と3の断片的預言はそれより10年以上もさかのぼるものとされている。この部分を別にして、1章の「いろは歌」と2章は、罰すべきは罰する恵みの神の賛歌と、新バビロニア帝国によるニネベ陥落の預言である。アッシリアを獅子(しし)、ニネベをその獅子の穴に例えた預言詩は、簡潔ではあるが文学的にも優れたものである。遊女ニネベへの嘲笑(ちょうしょう)歌と結びで終わる。

吉田 泰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナホム書」の意味・わかりやすい解説

ナホム書
ナホムしょ
Book of Nahum

旧約聖書 12小預言書の一つ。「主は慰めた」の意。前 663 (テーベ陥落) ~612 (ニネベ陥落) 年の間に書かれたもので,「ニネベについての託宣,エルコシ人ナホムの幻の書」と題されている。みずからの敵に対する主の憤りと報復が歌われたのち,アッシリア帝国の首都の一つニネベの滅亡についての預言がある。

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