ナミノハナ(その他表記)Iso flosmaris

改訂新版 世界大百科事典 「ナミノハナ」の意味・わかりやすい解説

ナミノハナ
Iso flosmaris

スズキ目ナミノハナ科の海産魚。この科はボラカマス近縁で,世界中の温帯・熱帯水域から約150種が知られている。ナミノハナは本州中部以南の太平洋岸,ことに房総半島や三浦三崎周辺に多く,潮だまりでふつうに見られる。体は著しく薄く,かつ,左右が平らで,腹面は肉質の隆起縁となる。胸びれが非常に高い位置につくことも目だった特徴。吻端(ふんたん)は丸く,頭部付近にはうろこがない。体色はほぼ透明であるが,体側の中央を幅広い1銀白色帯が走り,尾びれにも数条の横列斑点がある。体長は4cmどまりで食用にはされない。本種と同属の少数種はいずれも小魚で,インド洋~太平洋のあちこちに散在している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナミノハナ」の意味・わかりやすい解説

ナミノハナ
なみのはな / 波之華
surf sardine
[学] Iso flosmaris

硬骨魚綱トウゴロウイワシ目ナミノハナ科に属する海水魚。新潟県以南の日本海沿岸、千葉県以南の太平洋沿岸、台湾、香港(ホンコン)などに分布する。体は小さく、著しく側扁(そくへん)する。頭は丸くて短く、体は腹びれの基底部付近でもっとも高く、尾柄(びへい)部に向かって急に低くなるユニークな体形をしている。腹びれ基底から臀(しり)びれ起部の間の腹部に肉質の隆起縁がある。第1背びれは小さく、体のほぼ中央に位置し、弱い3~4本の棘(とげ)からなる。頭部と胸部の無鱗(りん)域を除いて、小円鱗で覆われる。体は銀色がかった透明で、中央部を幅広い銀白色帯が走り、尾びれ基底の小円斑(はん)で終わる。体長は5センチメートルほどにしかならない。波が強く当たる岩礁性の海岸にすむ。

[尼岡邦夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナミノハナ」の意味・わかりやすい解説

ナミノハナ(浪の華)
ナミノハナ
Chondrococcus japonicus

紅藻類カクレイト目ナミノハナ科の海藻。潮間帯下部の岩上に生じる。藻体は羽状に分岐して扇状に広がり,互生または対生する。体表に腺細胞があり,生品は松やにのような香りがする。分岐片の幅は2~3mmで,その縁片は鋸歯状である。本州中部の両岸,瀬戸内海に分布する。よく似たものにホソバノナミノハナ C. hornemanniがある。これは名のごとく裂片が細く1~2mm幅で鋸歯がない。

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