タイヨウチョウ(読み)たいようちょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タイヨウチョウ」の意味・わかりやすい解説

タイヨウチョウ
Nectariniidae; sunbirds

スズメ目タイヨウチョウ科の鳥の総称。一部の鳥はクモカリドリと呼ばれている。全長 9~22cm。一般に小型のものが多く体形や行動は南北アメリカにすむハチドリに似ている。羽色は,雄は金属光沢のある青,緑,紫,赤,黄金色などであるが,雌は普通暗褐色か暗黄緑色で地味である。雄の非生殖羽(→羽衣)が雌の羽色に似る種もある。は細長く,下方に湾曲している。アフリカアジアオーストラリア北東部の熱帯域に分布し,熱帯雨林に多いが,サバナから密林までさまざまな場所にすみ,おもに花蜜を食べる種が多い。クモカリドリ類はこの科では体が大きく全長が 13~22cm。名前のようにクモも食べるが,雑食性で,花蜜や花粉がおもな食べ物の種もいる。ナイルタイヨウチョウ Hedydipna platura,キムネタイヨウチョウ Aethopyga pulcherrima など 139種が知られている。

タイヨウチョウ
Morpho hecuba

鱗翅目モルフォチョウ科。タイヨウモルフォ,ヘクバモルフォともいう。モルフォチョウ類中,また西半球産のチョウの最大種で,前翅の開張幅 145~170mm。モルフォチョウ類は雄の翅が青色または白色に輝くものが多いが,本種の翅は表裏とも例外的に褐色で輝きがない。樹上高くを飛び,一度に 4kmも飛べるといわれるが,生態の多くは不明である。南アメリカ,アマゾン川下流域に分布する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイヨウチョウ」の意味・わかりやすい解説

タイヨウチョウ(鳥)
たいようちょう / 太陽鳥
sunbird

鳥綱スズメ目タイヨウチョウ科に属する鳥の総称。この科Nectariniidaeは、小形で色の美しい花蜜(かみつ)食の小鳥よりなり、5~8属約106種に分類される。全長9~22センチメートル。花蜜食のため、嘴(くちばし)は細く、多少とも下に曲がり、舌は管状で先端が分かれている。翼は短く丸く、足はじょうぶである。雌雄は一般に異色で、大部分の雄は金属光沢のある赤、緑、青、紫、黒などの羽毛をもち、その美しさは新世界のハチドリ類に匹敵する。しかし、雌はオリーブ緑色のような目だたない色のものが多い。種によっては、雄も非繁殖期にはくすんだ色となる。アフリカおよび南アジアを中心に、旧世界の熱帯と南半球に分布する。ジャングル、開けた森林、林縁、低木林、公園などさまざまな環境にすみ、つがいか小群で活発に餌(えさ)をあさっている。留鳥であるが、花を求めて、1日のうちにも季節的にもかなり遠くまで移動する。1日の移動距離が130キロメートルにも及ぶ種もある。鋭い金属的な鳴き声を発する。食物は、花蜜と花に集まる小昆虫やクモ類などである。花蜜は、そばの枝に止まって吸うことが多く、ハチドリのように飛びながら吸うことはほとんどしない。巣は、多くの場合、枝からぶら下がった長い袋状で、植物性の繊維や葉をクモの糸でつづってつくる。1腹の卵数は2、3個、抱卵、育雛(いくすう)はおもに雌がする。

[森岡弘之]


タイヨウチョウ(タイヨウモルフォ)
たいようちょう

タイヨウモルフォ

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