ニーメラー(読み)にーめらー(英語表記)Martin Niemöller

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニーメラー」の意味・わかりやすい解説

ニーメラー
にーめらー
Martin Niemöller
(1892―1984)

ドイツのルター派神学者。第一次世界大戦中、潜水艦長として活躍し、戦後ミュンスター大学で神学を学び、1931年ベルリン市ダーレム地区のルター派教会牧師となる。ヒトラー政権が成立すると、1933年「牧師緊急同盟」を組織し、その教会政策に抵抗した(告白教会)。このため1937年逮捕され、一時釈放されたが、ただちに再逮捕され、第二次世界大戦後解放されるまで強制収容所を転々とさせられた。戦後、ドイツ福音(ふくいん)主義教会の評議員、外務局長として活躍するが、強烈な平和主義者であったため、やがてこれらの地位を追われ、再軍備政策を推進する旧西ドイツの国家と社会に批判的に対決するに至った。

[吉田輝夫 2018年1月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニーメラー」の意味・わかりやすい解説

ニーメラー
Niemöller, Martin

[生]1892.1.14. リップシュタット
[没]1984.3.6. ウィースバーデン
ドイツのルター派神学者。第1次世界大戦に従軍し,潜水艦長として活躍。ウェストファリアのミュンスター大学で神学を修め,1924~30年同大学学内伝道にたずさわり,31~39年ベルリン・ダーレムのルター派教会牧師となる。ヒトラーの教会支配に対する抵抗運動の指導者として活躍し,牧師緊急同盟の結成を呼びかけ,告白教会の形成,バルメン宣言の成立にあずかって力があったが,逮捕されて,ダハウの強制収容所に送られる (1937) 。第2次世界大戦後解放されて,平和運動,ドイツ統一運動に尽力。ドイツ福音主義教会評議員,同外務局長。世界教会協議会会員。主著『Uボートから講壇へ』 Vom U-boot zur Kanzel (34) ,『イエス・キリストは主なり』 Herr ist Jesus Christus (46) 。

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