日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネロリ油」の意味・わかりやすい解説
ネロリ油
ねろりゆ
neroli oil
orange flower oil
フランス、イタリア、スペイン、モロッコなどに産するミカン科ダイダイの新鮮な花を水蒸気蒸留すると収油率0.1%で得られる無色の香油で、橙花(とうか)油ともいう。日光や空気に触れると変質する。この精油成分はl‐リナロール、酢酸リナリル、ネロリドール、リモネンなどである。
ダイダイは花からネロリ油、葉からはプチグレン油、果実皮からはオレンジ油、マーマレードが製造され利用価値が高い。果実は苦橙(くとう)bitter orangeといって生果として利用されないから、花から採油が行われるのである。水蒸気蒸留でネロリ油を製造する際、香成分中、水に溶けるものがあり、この蒸留水はオレンジフラワーオイル(橙花水)として利用されている。用途はフローラル調調合香料、オーデコロン、化粧水である。
[佐藤菊正]