日本大百科全書(ニッポニカ) 「リモネン」の意味・わかりやすい解説
リモネン
りもねん
limonene
単環式モノテルペン系炭化水素であり、右旋性(d-体)と左旋性(l-体)の光学異性体がある。光学的に不活性なラセミ体(dl-体)はジペンテンといわれる。d-リモネンはレモン油、オレンジ油などに、l-リモネンははっか油、スペアミント油などに、ラセミ体はテレビン油、樟脳(しょうのう)油などに存在する。d-リモネンはオレンジ、レモンなどの精油を分留して得ている。l-リモネンははっか油を分留して得ている。ジペンテンは樟脳白油を分留して得ている。
リモネンは香粧品香料として各種柑橘(かんきつ)油と併用され、せっけん、洗剤、化粧品、芳香剤などに用いられる。食品香料としては柑橘系、各種フルーツ系のフレーバーに使用される。d-リモネンはl-カルボン(スペアミント)の合成原料として重要である。
[佐藤菊正]