ハシボソミズナギドリ(その他表記)Puffinus tenuirostris; short-tailed shearwater

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハシボソミズナギドリ」の意味・わかりやすい解説

ハシボソミズナギドリ
Puffinus tenuirostris; short-tailed shearwater

ミズナギドリ目ミズナギドリ科。全長 40~45cm。全身灰黒色で,外形ハイイロミズナギドリによく似ているが,それよりずっと小型で,も著しく細い。オーストラリアバス海峡の島々,タスマニア島などで繁殖する。繁殖は 11月~1月にわたり,地下に穴を掘ってその奥に 1卵を産む。繁殖を終えた鳥は北上し,赤道を越えて 5~6月頃日本近海に現れ,アリューシャン列島ベーリング海北極海に向かい,太平洋東部を通って繁殖地へ戻る。往復の渡りの距離は 3万2000kmにも及ぶ。しばしば大きな群れになり,魚類,イカ,甲殻類を主食とし,飛び込んで潜水し獲物をとる。なお,魚類の多い水面にはミズナギドリ類が群れているので,これらの鳥は魚群発見の目安として重宝がられている。若鳥は繁殖地に戻らず,日本近海にも一年中生息する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハシボソミズナギドリ」の意味・わかりやすい解説

ハシボソミズナギドリ
はしぼそみずなぎどり / 嘴細水薙鳥
slender-billed shearwater
short-tailed shearwater
[学] Puffinus tenuirostris

鳥綱ミズナギドリ目ミズナギドリ科の海鳥。全長約42センチメートルの中形種。外洋性で、タスマニア周辺海域の島嶼(とうしょ)で多数繁殖し、太平洋西縁を北上し、北太平洋に渡る。

[長谷川博]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のハシボソミズナギドリの言及

【ミズナギドリ(水凪鳥)】より

…日本では小笠原諸島でオナガミズナギドリP.pacificusが繁殖している。南半球で繁殖し,初夏,日本近海に渡ってくるアカアシミズナギドリP.carneipes,ハイイロミズナギドリP.griseus(イラスト),ハシボソミズナギドリP.tenuirostrisは北太平洋で越冬し南半球に戻る。
[ミズナギドリ目]
 ミズナギドリ目Procellariiformesの海鳥は,共通の特徴として発達した管状の鼻をもち,特異な体臭をはなつ。…

※「ハシボソミズナギドリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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