日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハッラージュ」の意味・わかりやすい解説
ハッラージュ
はっらーじゅ
al-usayn b. Manūr al-allāj
(858?―922)
イスラム教の神秘家。イランに生まれる。若年のころからスーフィズムに入門し、サフル・トゥスタリーSahl al-Tustarī(818/819―896?)とジュナイドに師事した。しかし、神との神秘的合一の思想を大胆に一般に唱導したためにジュナイドから破門された。彼は、トルキスタン、インドに至るまで、各地で自己の神秘思想を説いて回り、多くの弟子を集めたが、バグダードで逮捕され、長期間にわたる監禁と裁判のすえ、壮絶な刑死を遂げた。しかし、後のスーフィーは、彼を、神の愛のために命を捧(ささ)げた殉教者として高く評価し、その生涯は多くの聖者伝や詩の題材となった。彼の作品では『タワーシーンの書』と詩が現在まで残っている。
[竹下政孝 2018年4月18日]
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