改訂新版 世界大百科事典 「ハルシャギク」の意味・わかりやすい解説
ハルシャギク
golden coreopsis
tickseed
Coreopsis tinctoria Nutt
アメリカ合衆国の中部,西部原産のキク科の一年草。ジャノメソウ,クジャクソウともいう。1m前後にのび,よく分枝して,6~7月にコスモスに似た径3cmの頭花をつける。花色は黄色,赤褐色,黄地に赤褐色の蛇の目などがあり,切花にはほとんど用いられないが,花壇や庭に栽培されている。草丈30cmにみたない矮性(わいせい)種は鉢や花壇に植えられる。葉は細長く2回羽状複葉で無毛,全草に一種の香気がある。日本に渡来したのは明治初年以前といわれ,こぼれ種でよく越年するので,半ば野生化しているところもある。寒気に強いので一般に9~10月に種をまけば露地で越冬するが,寒地では春まきとするのでやや茂りは少なく,8月に開花する。
Coreopsis属にはキンケイギクC.basalis Blake(=C.drummondii Torr.et A.Gray)やオオキンケイギクC.lanceolata L.などの一年草や多年草を含めて世界に100種もあるが,花はフラボン色素を含み,アルカリに反応して変色する。
執筆者:浅山 英一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報