ハルリンドウ(読み)はるりんどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハルリンドウ」の意味・わかりやすい解説

ハルリンドウ
はるりんどう / 春竜胆
[学] Gentiana thunbergii (G.Don) Griseb.

リンドウ科(APG分類:リンドウ科)の越年草。根元に越冬した根出葉がロゼット状に広がる。茎は高さ5~15センチメートル、基部で分枝し、やや太く、節間は短い。茎葉は対生し、卵状披針(ひしん)形。3~5月、茎頂に長さ2~3.5センチメートルの青紫色花を1個、上向きに開く。山地帯の湿地に生え、本州から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。変種タテヤマリンドウ(立山竜胆)は高山型で、茎は少数で細く、節間は長い。花は淡紫色または白色で、長さ1~2センチメートル。ハルリンドウとはすみ分け、亜高山帯から高山帯湿原に生え、中部地方以北の本州の日本海側の多雪地帯、北海道に分布する。

[高橋秀男 2021年5月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハルリンドウ」の意味・わかりやすい解説

ハルリンドウ(春竜胆)
ハルリンドウ
Gentiana thunbergii

リンドウ科の越年草で,東アジアの温帯に広く分布する。日本各地の日当りのよい湿地に生える。サワギキョウと呼ぶところもあるが,同名の別植物がある。茎の高さ約 10cm,根出葉は長さ 3cmほどでロゼット状となる。5月頃に,青紫色の花を茎頂に単生する。萼は深裂し,長さ約 10mmで先端はとがる。花冠は長さ 2cmほどの漏斗状鐘形で先は浅く5つに分れ,日中だけ開花する。本種の高山型の変種タテヤマリンドウ G. thunbergii var. minorは全体に小型で茎の数が少く,花も淡色である。本州中部以北の高山の湿原に生じる。

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百科事典マイペディア 「ハルリンドウ」の意味・わかりやすい解説

ハルリンドウ

フデリンドウ

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世界大百科事典(旧版)内のハルリンドウの言及

【リンドウ(竜胆)】より

…形態変化が多く,地域変異品にホソバリンドウ,ツクシリンドウ,キリシマリンドウ,クマガワリンドウなどの名がつけられている。 日本産のリンドウ類は,リンドウ属,タカネリンドウ属,チシマリンドウ属,サンプクリンドウ属の4属に分けられ,リンドウ属Gentiana(英名gentian)には,高山性のオヤマリンドウG.makinoi Kusn.,エゾリンドウG.triflora Pall.var.japonica (Kusn.) Hara,花が淡黄色のトウヤクリンドウG.algida Pall.(イラスト),高山性で小型のミヤマリンドウG.nipponica Maxim.,また一,二年草で草地に生えるフデリンドウG.zollingeri Fawc.(イラスト)やコケリンドウG.squarrosa Ledeb.,湿地に生育するハルリンドウG.thunbergii (G.Don) Griseb.(イラスト)などがある。 トウリンドウは根茎および根に苦味配糖体ゲンチオピクリンgentiopicrine,ゲンチアニンgentianineなどの苦味成分を含み,漢方では竜胆(りゆうたん)とよばれ,苦味健胃薬として用いられ,また他の生薬と配合して,解熱,肝炎,咽喉炎,中耳炎,高血圧,尿道炎などにも用いられる。…

※「ハルリンドウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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