サワギキョウ(読み)さわぎきょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サワギキョウ」の意味・わかりやすい解説

サワギキョウ
さわぎきょう / 沢桔梗
[学] Lobelia sessilifolia Lamb.

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)の多年草。茎は直立して枝分れしない。葉は多数互生し、披針(ひしん)形で縁(へり)に細かい鋸歯(きょし)があり、葉柄はない。8月ころ、茎は1メートルほどに伸び、茎頂に10花以上からなる総状花序をつける。花は濃青紫色でよく目だち、唇形で上下に開き、上側は2裂し下側は3裂する。日当りのよい湿原に生え、日本を中心に千島列島、朝鮮半島、中国東北部、シベリアなどに広く分布する。季節感の著しい野草で、茶花などに人気がある。初夏のころ、長く伸びた茎を切り、浅い泥土中に挿芽すると、容易に殖やすことができる。水湿地に植えたり、水鉢に泥を入れて植える。

 同類ベニバナサワギキョウ紅花沢桔梗L. cardinalis L.は北アメリカ産で、高さ約1メートル、長楕円(ちょうだえん)形の葉が多くつく。7月ころ、茎上方に鮮紅色の花が段咲きとなる。春に種を播(ま)くと翌春に花を開く。株分けによっても殖やせる。

[鳥居恒夫 2021年10月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サワギキョウ」の意味・わかりやすい解説

サワギキョウ(沢桔梗)
サワギキョウ
Lobelia sessilifola; lobelia

キキョウ科の多年草で,アジア東部の冷温帯に広く分布し,湿地に群生する。花を除いては全草が無毛で,茎は分枝せず直立し,高さ 60~100cmもあって中空である。葉は無柄で長さ5~7cmの披針形,縁に細かい鋸歯があり,茎に密に互生する。花は8~9月に,茎の上部に総状花序をなして咲く。花冠は鮮かな紫色で,唇形に深く5裂し,裂片の縁には長い軟毛がまばらに生える。果実は壺状の 蒴果で,長さ 1cmほどである。有毒成分ロベリンが含まれるため,全草毒草で,もし誤って食べると呼吸麻痺やけいれんなどの中毒症状を示すという。花壇鉢植にして栽培される同属のロベリアは,観賞用ばかりでなく,薬用にもされる。

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